麻疹(はしか)
近年、麻疹の感染者が相次ぎ話題になっています。日本ではあまりみなくなりましたが、世界的にみるとまだまだ根絶されておらず、コロナ禍後の海外旅行が増え、海外から持ち込まれるケースは後を絶たず、国内での感染事例も報告されています。また、麻疹といえば子どもの病気というイメージがあると思いますが、成人でも発症する可能性は十分にあります。
麻疹は、インフルエンザより強い感染力を持っています。麻疹患者と同じ部屋にいるだけで、免疫を持たない人はほぼ100%感染します。すれ違うだけでも感染するといわれるほどです。また、1000人に1人は死亡する可能性があるといわれる怖い病気です。ですが、一度かかると一生涯免疫が持続するため、ワクチンで予防できる病気でもあるのです。まずは母子手帳などで、ワクチン接種履歴があるか確認しましょう。ご自身に抗体があるかわからない場合、自費になりますが、抗体検査を受けることも可能です。
原因
麻しんウイルスによるもので、空気感染・飛沫感染・接触感染で感染が広がります。麻疹は、ウイルスの中で最も強い感染力を持っていますが、感染力が最も強い時期は、発疹が出現する前の風邪と似た症状が出ている時期です。ただの風邪と思っていると知らぬ間にウイルスを広めてしまいますので、体調がすぐれないときは外出などは極力控えましょう。
症状
発熱、発疹、咳、鼻水、目の充血など。
約10~12日間の潜伏期間の後に風邪のような症状が出始めます。2~4日発熱が続いた後、39℃以上の高熱とともにかゆみを伴わない発疹が現れます。顔や首から出始め、体全体に広がります。また、発疹の出現前後、頬の粘膜にコプリック斑と呼ばれる1㎜程度の小さな白色の斑点ができることも特徴の一つです。合併症として肺炎や中耳炎、脳炎などを発症する場合があります。ごく稀ですが、麻疹に罹患してから約10年後に神経症状が進行し、発症から数ヶ月で死に至る亜急性硬化性全脳炎(SSPE)を発症することがあります。
治療
感染力が強く、命に関わることもある病気ですが、特別な治療法はなく、辛い症状を軽減する対症療法を行います。
予防法
唯一の有効な予防方法は、ワクチンの予防接種です。
現在、麻疹ワクチンの定期接種は、1歳のときに1回目、小学校入学前に2回目と定められています。
ですが、1972年10月1日以前に生まれた年代の方は接種する機会がありませんでした。ですが、過去に自然感染により免疫を獲得している可能性の高い世代です。また、2000年4月1日以前に生まれた年代の方は接種回数が1回の方も多く、免疫が十分でない可能性があります。
麻疹罹患歴・予防接種歴がわからない場合は予防接種の検討をおすすめします。
注意点
麻疹の疑いがある場合は、医療機関を受診する前に必ず電話連絡をし、受診の仕方や注意点を確認しましょう。また、医療機関へ向かう際は、必ずマスクを着用し、公共交通機関の利用は避けてください。
感染拡大を防ぐためにも、診断が確定されるまでは、可能な限り外出は控え、自宅で待機するようにしましょう。