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感染性胃腸炎

感染性胃腸炎とは、ウイルスや細菌などが胃や腸の粘膜に感染して炎症を起こす病気です。主に夏に多い細菌性と冬に多いウイルス性の二つに分けられます。主な症状はどちらも嘔吐、下痢、腹痛、発熱などです。血便が見られることもあります。また、子供や高齢の方は下痢による脱水症状になることがあります。感染経路としては、感染者の便や嘔吐物を介して体内に侵入する糞口感染、病原体が付着した物に触れて感染する接触感染、嘔吐した際の飛沫感染や空気感染、汚染された食品からの食品媒介感染などがあります。

ウイルス性胃腸炎

「おなかの風邪」や「嘔吐下痢症」とも呼ばれるウイルス性胃腸炎は、突然の激しい嘔吐や下痢、約37~38℃の発熱などの症状がよくみられます。11月~3月頃の秋から冬にかけての寒くなる時期に流行ります。
ノロウイルス
感染力が非常に強く、感染者の嘔吐した物や便などの処理の時に手指が触れることにより接触感染したり、嘔吐して飛び散った飛沫でも感染します。人から人へ広がるほか、感染者が調理した食品や、ウイルスに汚染された二枚貝(カキなど)を食べることでも感染します。潜伏期間は数時間~数日(1~2日程度)で発症します。嘔吐・腹痛・下痢・吐き気が主な症状です。発熱はあまりなく、あっても微熱程度でしょう。嘔吐による脱水に注意が必要です。
ロタウイルス
主に乳幼児に感染し、冬から春(特に3月から5月)に流行します。感染力が強く、ごくわずかなウイルスが体内に入っただけで感染します。感染経路は感染者の嘔吐した物や便などを介して口に入って感染する糞口感染、ウイルスがついたドアノブやおもちゃなどを触った手で飲食したり目をこすったりして感染する接触感染、飛沫感染です。激しい嘔吐と白色の水のような下痢の症状が特徴で、脱水症状に注意が必要です。その他、吐き気や発熱などの症状もみられます。3日~1週間ほどで回復します。
大人のロタウイルスによる胃腸炎を防ぐワクチンはありません。ですが、生後6週から32週までに接種可能なロタウイルスワクチンのみ自費での任意接種があります。決められた期間でしか接種できず、重症化を防ぎますので、接種することをおすすめします。
アデノウイルス
季節に関係なく一年中発生しますが、夏場にやや多く、プールを介して感染することもあることから「プール熱」や「はやり目」とも呼ばれることがあります。感染力が強く、接触感染・糞口感染・飛沫感染が主な感染経路です。主な症状は、高熱、喉の強い痛み、結膜炎です。嘔吐や下痢などの症状が現れる場合もあります。アデノウイルスは、50種類以上の型があるため、一度かかっても異なる型に感染すれば何度も発症することがあります。

細菌性胃腸炎

細菌によって汚染された食べ物や水を介して感染することが多く、夏場に増える傾向にあります。突然の激しい腹痛と水のような下痢、38℃以上の高熱が主な症状です。細菌の種類によっては血便を伴うこともあります。
サルモネラ菌
卵や食肉など加熱不十分な場合に感染します。また、サルモネラ菌はペットの腸管内に常在菌として保有しているため、ペット(爬虫類、鳥類、犬、猫など)飼っている人も注意が必要です。激しい腹痛、高熱、下痢などの症状があらわれます。
カンピロバクター
食肉(特に鶏肉)やレバーの加熱が不十分な場合や生食、井戸水が主な原因です。ペットからの感染も確認されています。発熱、吐き気、腹痛、下痢、血便などの症状を引き起こします。稀に、感染後、ギラン・バレー症候群を発症することもあります。潜伏期間は2~5日、発症後は数日~2週間ほど症状が続き、他の食中毒菌に比べて長いのが特徴です。
病原性大腸菌(O157)
汚染された牛肉や生野菜、井戸水などが感染源です。潜伏期間が長いため、感染者の手洗いが不十分だった場合の二次感染で広がる可能性もあります。主な症状は、腹痛、水様性下痢や血便です。重症化すると、溶血性尿毒症症候群(HUS)などの合併症を引き起こすことがあります。
黄色ブドウ球菌
健康な人の皮膚や鼻の中にも存在していて、特に化膿した切り傷に多くいるので、調理する人の手や指にそのような症状がある場合、食品に触れることで、食品に菌が混ざり増殖して、熱や乾燥に強い毒素が作られ食中毒を引き起こします。激しい吐き気と嘔吐、下痢や腹痛などの症状があらわれます。1日程度で自然回復へと向かいます。素手でおにぎりやサンドイッチなどを作ることは避けましょう。
腸炎ビブリオ
夏場に多く、貝類や魚介類の刺身から感染します。塩分を好むため、真水でよく洗い流すことが大切です。また、熱にも弱いので加熱調理が予防につながります。潜伏期間は数時間と短く、激しい腹痛と水様性下痢が主な症状です。吐き気や嘔吐、発熱することもあります。重症化した場合、敗血症や腎障害などの合併症を引き起こす可能性があります。高齢者や基礎疾患のある方は、特に注意が必要です。

治療

感染性胃腸炎の治療は、対処療法が基本で自然回復を待ちます。鎮痛剤、吐き気止め、整腸剤などを処方しますが、下痢止めは病原体の排出を阻害することになるので、使用しない方がよいでしょう。また、脱水症状を緩和するためにも水分補給は大切です。脱水状態がひどい場合は、点滴を行います。細菌性胃腸炎の場合で患者さんの状態によっては抗菌薬を使用します。

感染拡大を防ぐために

  • 石けんによる手洗いとうがいの徹底
  • 感染者の入浴はシャワーのみで済ませる(体力消耗と二次感染を防ぐため)
  • タオルや食器は共有しない
  • 共有のトイレ使用時のマナーの徹底(マスク着用、流す時はフタを閉める)
  • 食品はしっかり加熱、洗浄する
  • 嘔吐物や便の処理は細心の注意を(手袋とマスクの着用、次亜塩素酸ナトリウムを使って消毒)
  • ドアノブやトイレ、スイッチなどはこまめに消毒

仕事や学校の復帰について

嘔吐や下痢症状が完全に治まってから24~48時間を経過し、通常の食事や水分がしっかりととれて日常生活が問題なく送れる程度に体力が回復している場合、復帰を考えてよいでしょう。
ただし、症状がなくなっても数日から数週間はウイルスや細菌が排出されるため、職種や学校などによっては復帰の目安が異なります。規則やマニュアルを確認してください。また、復帰後もこまめな手洗いとうがいで予防しましょう。